先延ばしに対するカウンセリング

先延ばしの理解

 先延ばしとは学術的に、「何らかの達成すべき課題を遅らせること」、「意図した一連の行動の開始あるいは完了の遅延」などと定義されるのが一般的です。カウンセリングにおいてはまず、その先延ばしの特徴がどんなものであるかを把握していきます。

先延ばしの特徴による分類

○意図的で自発的な先延ばし

 これは課題の開始、もしくは完了を意図的に遅らせる行為をいいます。

 

○自らの意図に反した先延ばし

 例えば、終わらせたいと思っているにもかかわらず、課題を期限までに終わらせることに失敗してしまうなどがこれに当たります。

 

○意識されていない先延ばし

 「気づいたら先延ばしをしていた」などがこれに当たります。

 

○習慣化した先延ばし

 合理的な理由もなくものごとを遅らせる、怠惰で自滅的な習慣をいいます。

 

 カウンセリングにおいては上記の特徴による分類を基準として、クライエント様の症状を査定していきます。さらにそこから先延ばしを引き起こす原因について調べていきます。

先延ばしの原因による分類

○怠惰

 課題が「大変そう」「つまらなそう」「面倒くさそう」などと思えてなかなか行動に移すことができず、その結果課題の開始もしくは完了を遅らせます。

 

○不安 

 「これをしなければいけないのはわかっているけれど、もしこれをやってみて上手くいかなかったら、とても辛い思いをしてしまうだろう」などといった不安な気持ちが、課題の開始、もしくは完了を遅らせます。

  

○迷い

 どちらがいいか、何にしようかといった迷いが、課題の開始、もしくは完了を遅らせます。迷いが解消されなければ行動に移すことができないため、いつまでも立ち止まってしまい、前に進むことができません。

   

○不注意

 簡単に気をそらされてしまい、課題とは別のことに注意が向いてしまいます。それはつまり、その時点で暗黙のうちに先延ばしをするという決断(別のことをやろうという決断)をしているということになります。

 

○技術不足

 課題を完了させるために必要な技術が不足しているため、課題を完了させることができません。特に、計画を立てて行動するという技術が不足している場合には、課題に対して何から手をつけていいのかわからず、何も進ませることができないということもあります。

 

 カウンセリングにおいては、まず先延ばしの特徴と原因を見極め、そこからクライエント様とカウンセラーの両者で、さらにその先延ばしについての理解を深めていくことになります。

先延ばしの原因に対する考え方による分類

 前述の5つの先延ばしの原因による分類のうち、「怠惰」「不安」「技術不足」が先延ばしの原因である場合には、その原因に対してご本人がどのような考えに至ったのかについて調べていきます。この点についての理解を深めることは、その先延ばしを正確に把握することを助け、先延ばしの原因を解消させるのに役立ちます。

 

○可能性の保存

 課題を開始しないことによって、「その課題を完了することができる」という自らの可能性を保存しようとします。

 

○現実逃避

 「目の前のことを忘れ去りたい」「現実から目を背けたい」などといった非論理的な気持ちが、課題の開始もしくは完了を遅らせます。心が現実から逃げている状態なので、感情をコントロールすることが難しく、目の前の課題(現実)に向き合うことができなくなります。

手段としての先延ばしによる分類

 何かの目的を達成するための手段として先延ばしをすることがあります。

 

○反抗・攻撃行動としての先延ばし

 先延ばしをすることで他者を困らせます。この反抗・攻撃行動としての先延ばしには、「悪意」や「歪んだ自己主張」などが背景に存在します。

基本的なカウンセリングの流れ

 その先延ばしの特徴を把握し、その先延ばしの原因を明確化させることができれば、その原因を問題として捉え、現実的なカウンセリングの目標(問題解決=先延ばしの克服)を設定することができます。そのあとはその目標を達成させるための具体的な取り組みを検討し、それを実行すればいいのです。実行すれば必ず結果がでます。その結果が成功であったならば、次のステップに進めむことができますし、失敗であったとしても、失敗した原因を調査して修正し、リトライすることができます。この一連のサイクルを経験することが「成長」を生み出すのです。失敗はそれほど悪者ではありません。たくさんのものを与えてくれます。

 

感情の問題による先延ばし

 不安などによる感情問題が先延ばしの原因となっている場合には、その心理的な問題を取り除くことが、カウンセリングにおいては主となります。なぜなら、先延ばしを生み出す心理的な問題を解決させなければ、「物事を始める」ということは心理的に不可能であると考えるからです。

感情の問題以外の原因による先延ばし

 例えば、技術的な問題が原因となる先延ばしの場合には、その不足している技術を補うことが先延ばしの解消につながると考えます。「不足している技術を補う」とは、その不足している技術を使わずに済む方法を検討するということも選択肢のひとつとなります。

 ご自身の得意とすることと不得意とすることをよく理解することから始まり、ご自身の特徴をよく理解した上で、先延ばしの克服へ向けての取り組みを行います。

習慣化した先延ばし

 もし先延ばしが習慣化してしまっているのなら、古い習慣を新しい習慣へと置き換える必要があります。そのためには地道な努力は欠かせません。ここでの関心事はただひとつです。「物事を始める」という新しい習慣を身につけるということです。習慣化されたら「物事を始める」ということに、もはや努力は必要なくなるのです。

 大切なことは、小さな成功を経験し、それを積み重ねていくことです。成功はより良い自己評価を生み出す唯一の方法なのです。

潜在能力を開花させる方法を習得する

 私たちは成長する潜在能力を持って生まれてきています。この潜在能力を開花させる方法を習得した人は、言葉では言い尽くせないほど豊かで、感動に満ちた人生を体験することができます。先延ばしの克服とは、潜在能力を開花させる方法を習得するということなのです。

カウンセラーから一言

  まずは、 「やらなくてはいけないことはわかっているのに、どうしてもそれができない」、「みんな普通にやれているのにどうして自分はできないんだ」などと、お辛い思いをされている方には、「どうかひとりで悩まないように」と、お伝えしたいです。

 先延ばしに対するカウンセリングの場においては、クライエント様が明るい気持ちになっていただけたら良いと考えております。「なんだか楽しい」、「なんだかワクワクしてきた」、「なんだか未来が明るいものに思えてきた」など、そんな気持ちになっていただけたら良いですね。明るい気持ちになっているときには、「何かを始めてみよう」という気持ちになりやすいものなのです。

  先延ばし克服への道を、明るく前向きな気持ちで進むことができたら素晴らしいですね。よろしければ私がそのお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談ください。

身近な方の先延ばしに関するご相談

 ご本人の先延ばしのお悩みではない、身近な方の先延ばしについてのご相談もお受けいたします。先延ばしをしてしまう方に対する適切な「理解」と「態度」があれば、どなたでもその方をサポートすることは可能です。そして、先延ばしでお悩みの方にとっても身近に自分のことを理解してくれる人がいるだけで、それが大きな心の支えとなります。先延ばしでお悩みの方を、家族や友人、職場の仲間や上司など、身近な方たちがサポートし、ご本人が先延ばしの悩みを解消し人生を力強く歩んでいけるようになれば、それはとても理想的です。

 先延ばしでお悩みの方への接し方やサポートの具体的な方法など、お話をよく聴かせていただいた上で検討し、ご提案いたします。

※精神科・心療内科へ通院されている方は、必ずカウンセリングを受けることに対して医師の承諾を得てからお申し込みをされますようお願いします。