メールカウンセリングについて考える

 ホームページでもご案内させていただいているように、当カウンセリングサービスではメールカウンセリングを出張カウンセリングの補助的役割として位置づけています。これは私自身、メール形式のカウンセリングに対しての限界を認めているからです。

 

・細かなニュアンスを伝えることに対する不自由さ。

・クライエント様が伝えたい事柄を深く、そして確実に理解することの難しさ。

・解釈がずれてしまう危険性。

・カウンセリングの進展の遅さ。

・クライエント様とカウンセラーの両者が、問題に対して同じ時間に取り組むことができないこと。(例えばクライエント様が問題に取り組んでいるときに、カウンセラーはそれとは全く別のことをやって過ごしているということなど)

・カウンセラーからの返信文に対して、クライエント様がひとりで長い時間思い悩んでしまう可能性があること。また、それによってその悩みが膨らんでいってしまう可能性があること。(これは文章のやりとりによるカウンセリングの代表的な落とし穴であると私は思います)

・カウンセリングの場が日常とかけ離れた時間として存在し得ないこと。(メールカウンセリングの場合はひとりの空間でメールを打ち込むのに対し、面談形式のカウンセリングでは、家族でもない、友人でもない、職場の人間でもない、自分の悩みを一緒に考え援助するという役割のみの間柄であるカウンセラーとのカウンセリングの場は、日常とかけ離れた特別で貴重な時間となり得る)

・カウンセラーがクライエント様の空気を感じることができないこと。

・メールカウンセリングではクライエント様がカタルシス効果を期待する傾向にあるということ。(私個人のこれまでの経験上の意見であり、あくまでその傾向があるということです。そしてそれが悪いと言っているのではありません)

・返信に時間がかかり、送った側が返信を受け取ったときに、メールを打っていたときと同じ感情をキープしているとは限らないということ。

 

 と、メールカウンセリングの限界を認めざるを得ない理由としては、これらのことが挙げられるでしょうか。しかし、これらの中には私の能力不足によって引き起こされている事柄もいくつかあると感じておりまして、私が努力を積み重ねた結果、いくつかの問題はクリアになるのかもしれません。

 しかし着目すべき点はそこではありません。一番重要なことは、どんな場合でもカウンセラーはクライエント様の安全を最優先に考えなければならないということです。例えばメールカウンセリングを行っていたクライエント様からクライエント様の生命の危機を感じさせる内容のメールが届いた時、カウンセラーは何ができるでしょう?

 「ダメだよ!まだ大丈夫なんだからね!」などとメールの返信をすることぐらいしかできないのでしょうか?

 

 当カウンセリングサービスではそのような緊急時に備える目的として、メールカウンセリングの申し込みの際でも住所の記入は必修項目とさせていただいているのですが、それで十分というわけではありません。やはりそこには他機関との連携というのがベストなのでしょうけど、システムの構築はかなりの時間を要すると思います。そこには私自身の経歴や信用も必要となってくることは言うまでもありません。

 だからといって「仕方ないよね」では済まされるわけもなく、この問題に関してはこの先真剣に行動していく必要があると考えております。そしてそれを今現在行動に移せない何らかの理由があるのであれば、メールカウンセリングで行える範囲をカウンセラーが制限する勇気も必要となってくると思うのです。

 そうです。今の私がその状況にあるわけです。

 

 ホームページの案内にはメールカウンセリングの注意事項として、デメリットやカウンセリング効果について記載させていただきました。「これじゃぁ利用する人はいないでしょ」というくらいに。

 しかし、それで良いと思っております。今の私にクライエント様の安全を確保した上でメールカウンセリングを行わせていただくためには必要なことだと思うからです。まぁ、単刀直入に言って、メールカウンセリングにおけるカウンセラー(私のこと)の能力の限界及び心理療法の限界です。これは本当に認めざるを得ません。

 

 ではなぜ、それでも私はメールカウンセリングを行っているのか?

 

 それは多くのデメリットがあるけれども、少なからずメリットも存在するからです。まず最初に申し上げました通り、出張カウンセリングの補助的役割というのが前提となります。

 

・面談形式のカウンセリングを実際に行う前に、メールカウンセリングを組み込むことによってクライエント様の緊張が緩和される。(これは本当に重要)

・慣れない相手に対して上手く自分の考えを伝えることが難しい方などは、初期の段階では文章で伝える方がスムーズに話を進めていくことができる場合もある。

 

 これらのことは心理療法を導入する以前の話となりますが、実に有効な手段であると私は思っております。信頼関係の構築とまでは言いませんが、クライエント様の緊張の緩和という面では非常に効果的であると私は考えており、この点についてはメールカウンセリングの存在意義を感じます。

 

 その他の手段として、出張カウンセリングとの併用があります。先ほどの話はメールカウンセリングから面談形式のカウンセリングへの移行というパターンでしたが、この併用カウンセリングは面談カウンセリング移行後のパターンです。

 例えば私が行わせていただいるカウンセリングでは、毎回必ずホームワークをお出しします。このホームワークに対してのやりとりをメールで行うということには意味があると思うのです。もちろんメールでなくて面談でそれができれば一番良いのですが、生活上の理由から面談形式のカウンセリングを受けることが難しい方などにとっては、とても有効な手段となり得るのです。ここにはメール形式であるがゆえの限界といったものは、ほぼありません。

 

 実際のところ現時点における、当カウンセリングサービスでは以上のメリットを最大限に利用したメールカウンセリングの導入とさせていただいております。この導入方法であれば、クライエント様の安全が確保できる範囲内でのカウンセリングに留めることができ、それでいてメールカウンセリングの明らかな存在意義を確認することもできます。

 

 いろいろとデメリットが存在するメールカウンセリングですが、私はそれを完全否定する気にはなれません。導入方法によっては、ポジティブな可能性を感じさせるものがあるからです。

 メールカウンセリングについては、これからも考えていきたいと思っております。