メールカウンセリングについて考える

 当カウンセリングサービスではメールカウンセリングを対面カウンセリングの補助的役割として位置づけています。これは私自身、メールカウンセリングの限界を認めているからです。

 

※2021年4月現在、当カウンセリングサービスはメールカウンセリングプランを廃止し、主に対面カウンセリングにおけるメールサポートシステムとしてのみメールを活用しております

 

 

・細かなニュアンスを伝えることに対する不自由さ

 

・クライエント様が伝えたい事柄を深く、そして確実に理解することの難しさ

 

・解釈がずれてしまう危険性

 

・カウンセリングの進展の遅さ

 

・クライエント様とカウンセラーの両者が、問題に対して同じ時間に取り組むことができないこと(例えばクライエント様が問題に取り組んでいるときに、カウンセラーはそれとは全く別のことをやって過ごしているということなど)

 

・カウンセラーからの返信文に対して、クライエント様がひとりで長い時間思い悩んでしまう可能性があること。また、それによってその悩みを強めてしまう可能性があること(これは文章のやりとりによるカウンセリングの代表的な落とし穴であると私は思います)

 

・カウンセリングが特別な場として存在し得ないこと(メールカウンセリングの場合はひとりの空間でメールを打ち込むのに対し、対面カウンセリングでは、家族でもない、友人でもない、職場の人間でもない、自分の悩みを一緒に考え援助するという役割のみの間柄であるカウンセラーとのカウンセリングの場が、クライエント様にとって特別で貴重な時間となり得る)

 

・カウンセラーがクライエント様の空気を感じることができないこと

 

・メールカウンセリングではクライエント様がカタルシス効果を期待する傾向にあるということ(私個人のこれまでの経験上の意見であり、あくまでその傾向があるということです。そしてそれが悪いと言っているのではありません)

 

・返信に時間がかかり、送った側が返信を受け取ったときに、メールを打っていたときと同じ感情をキープしているとは限らないということ

 

 

 と、メールカウンセリングの限界を認めざるを得ない理由としては、これらのことが挙げられます。しかし、これらの中には私の能力不足によって引き起こされている事柄もいくつかあると感じておりまして、私が努力を積み重ねた結果、いくつかの問題はクリアになるのかもしれません。

 

 しかし着目すべき点はそこではありません。一番重要なことは、どんな場合でもカウンセラーはクライエント様の安全を最優先に考えなければならないということです。例えばメールカウンセリングを行っていたクライエント様からクライエント様の生命の危機を感じさせる内容のメールが届いた時、カウンセラーは何ができるでしょう?「ダメだよ!まだ大丈夫なんだからね!」などとメールの返信をすることぐらいしかできないのでしょうか?

 

 当カウンセリングサービスではそのような緊急時に備える目的として、メールカウンセリングの申し込みの際でも住所の記入は必修項目とさせていただいているのですが、それで十分というわけではありません。やはりそこは他機関との連携というのがベストなのでしょうけど、システムの構築はかなりの時間を要すると思います。そこには私自身の経歴や信用も必要となってくることは言うまでもありません。

 

 だからといって「仕方ないよね」では済まされるわけもなく、この問題に関してはこの先真剣に行動していく必要があると考えております。そしてそれを今現在行動に移せない何らかの理由があるのであれば、メールカウンセリングで行える範囲をカウンセラーが制限する勇気も必要となってくると思うのです。

 

 そうです。今の私がその状況にあるわけです。

 

 ホームページの案内にはメールカウンセリングの注意事項として、デメリットやカウンセリング効果について記載させていただきました。「これじゃぁ利用する人はいないでしょ」というくらいに。しかし、それで良いと思っております。今の私にクライエント様の安全を確保した上でメールカウンセリングを行わせていただくためには必要なことだと思うからです。まぁ、単刀直入に言って、メールカウンセリングにおけるカウンセラー(私のこと)の能力の限界及び心理療法の限界です。これは認めざるを得ません。

 

 ではなぜ、それでも私はメールカウンセリングを行っているのか?

 

 それは多くのデメリットがあるけれど、少なからずメリットも存在するからです。まず最初にお伝えした通り、対面カウンセリングの補助的役割というのが前提となります。

 

 

・対面形式のカウンセリングを実際に行う前に、メールカウンセリングを組み込むことによってクライエント様の緊張が緩和される

 

・クライエント様が慣れない相手に対して上手く自分の考えを伝えることが難しい方などは、初期段階では文章で伝える方がスムーズに話を進めていくことができる場合もある

 

 

 これらのことは対面カウンセリングを行うに当たり、実に有効な手段であると私は思っております。信頼関係の構築とまでは言いませんが、クライエント様の緊張の緩和という面では非常に効果的であると私は考えており、この点についてはメールカウンセリングの存在意義を感じます。

 

 

 その他のメール活用法として、対面カウンセリングとの併用があります。例えば私が行わせていただいるカウンセリングでは、毎回必ずホームワークをお出しします。このホームワークに対してのやりとりをメールで行うということには意味があると思うのです。ここにはメール形式であるがゆえの限界といったものは、ほぼ感じません。それはこの活用法がメールカウンセリングと言えるほどの役割を担っていないからですね。それでもこの活用法は有効だと思います。

 

 

 いろいろとデメリットが多く存在するメールカウンセリングですが、私はそれを完全否定する気にはなれません。導入方法によっては、ポジティブな可能性を感じさせるものがあるからです。

 

 一番大切なのは、クライエント様の安全を確保できるかどうかですね。カウンセリング効果というのは二の次です。