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ビデオ通話カウンセリングに思うこと

 かれこれビデオ通話セッションを始めてから半年以上が経ちました。当初私はビデオ通話セッションは対面セッションと比べたときのカウンセリング効果といった点で、少し懸念を抱いておりましたし、ビデオ通話セッションはあくまで緊急事態宣言発令時の代替案として「カウンセリングを中断するよりはマシ」くらいに捉えていたというのが実際のところでした。よって、ビデオ通話カウンセリングの申し込みには「この方にビデオ通話カウンセリングは妥当なのか?」という点について、かなり慎重に判断していたのを覚えております。

 

 つまり、当初私はどちらかと言ったらビデオ通話カウンセリングには否定的な立場をとっていたということです。全否定していたわけではないのですが(もちろんそうであったとしたらビデオ通話セッションを行ったりはしてなかったでしょう)、やっぱりカウンセリングの効果をいかに高めるかということはいつだってカウンセラーにとっては最大の関心事だったりするのです。

 

 それで今、半年以上ビデオ通話セッションをやってきて感じることはどうなのかと言いますと、まずは「慣れてきた」というのが一番にあります。最初は会話の中で、機械的な声色とか、しばしば起こる一瞬の音声の途切れですとか、ちょっとしたことがとても気になったりしていたのですが、今は不思議とそれはないです。ですから、この点については少なくとも今現在、私にとってのビデオ通話セッションのデメリットとはなっておりません。

 

 あとは一番大切なこと。カウンセリング効果ですね。はっきりと申しまして、現段階では対面セッションとの比較で、私としてはカウンセリング効果の差を感じておりません。これは私としてもちょっと驚きだったりします。もちろんカウンセリングの目標を達成して終結を迎えられた方もおられます。

 

 このカウンセリング効果については既に「対面セッションとの差はない」といったいくつかの論文も出されていたりします。実際やってみないとわからないものですね。当初ビデオ通話カウンセリングに懐疑的立場をとっていたのは私だけではなかったはずですから。

 あとは、人間って適応していくものなのだなぁと強く感じたりもしました。

 

 効果については現時点ではそのように感じております。他方でビデオ通話セッションと対面セッションとの違いについて感じるところを述べさせていただきます。

 

 まずカウンセラーの立場から感じる点としては、同じ空間に存在することなく会話をしているということ。ここには決定的な違いを感じております。これは慣れる慣れないの話ではなく、そういうものだと受け入れるほかないことですね。この事実によって、言語以外のコミュニケーションの機会が減ってしまっているのは確かにあると思います。言葉を発していないときのクライエント様の空気や色を感じ取りづらいとか、そんな感じの話です。

 

 ただ、その不足した部分はちゃんとほかの部分で補っていたりもするのです。これはあくまで私の場合で、私の個人的な解釈なのですが、その失われた空気感をなんとかしようと、ビデオ通話セッションでは対面セッションのときよりも、クライエント様の表情をより良くうかがい、いろいろなことを感じ取ろうとするようになってます。これは意識してそうしているのではなく、自然にそうしている感じです。こんなこと言うとビデオ通話セッションを行うことに対して抵抗感を与えてしまいそうですが・・・

 

 クライエント様の立場になって感じることは、対面セッションと比較した場合のセッションに臨む意識に少し違いがあるのかなぁという点。ビデオ通話セッションは利便性が高いですから、対面セッションと比較するとセッションに臨むエネルギーに違いがあるのかもしれません。それは場合によっては、セッションに臨む意識の違いとしても現れるのかもしれないと感じたりもしています。このあたりのことはまだ私の中で確信は持てておりません。

 

 あとは、ずっと対面セッションを行ってきたクライエント様にはビデオ通話セッションは少し物足りなさを感じる部分もあるのかなぁとも感じます。それは先程お伝えしたセッションに臨むエネルギーの話と関連することなのですが、対面セッションに大きなエネルギーを注いでいた方にとってはそこまでのエネルギーを必要としないビデオ通話セッションは拍子抜けしてしまうようなところはあるような気がしております。

 

 自宅以外でセッションを行ってきた方にとっては、セッションが「外出する用事」になるので、セッションの存在が活動的になる助けとなったりもします。これはビデオ通話セッションでは決して得ることのできないものですよね。

 

 ただ、今はコロナ禍で感染予防対策は最優先事項となっているわけですから、この状況においてはビデオ通話セッションが最も適切な形態なのだと思います。対面と比較した際の違いは当然ありますが、効果の差が感じられないのだとしたら、私としては現状においてビデオ通話セッションをおすすめしたいと考えております。安心してセッションを行えますからね。それが今は一番大切です。

 

カウンセリング形態について