· 

意欲低下の改善と予防

 普通にできていたことができなくなるほどの倦怠感。例えば誰かに話しかけられても返事ができない、掃除や洗濯ができない、お風呂に入れない、髭を剃ることができないなど。こんなときは楽しい気持ちにはこれっぽっちもなれず、ただただ「しんどい」気持ちで身体が覆われてしまうことでしょう。

 

 先延ばしや回避行動の原因にもなりうる、この意欲低下。ここでは明確なきっかけが存在する場合(例えば友人に嫌われた、いつも可愛がってくれている上司に怒られたなど)の意欲低下について述べていきたいと思います。

 

 

 明確なきっかけがあるような意欲低下は多くの場合、その辛い状況を改善させる術が見つからない状態、つまり八方ふさがりに陥ってしまっているがゆえに起きている現象だったりします。このように考えると、その辛い状況に対する打開策を見つけ出すことが、意欲低下の改善策となり得ると言えます。

 

 意欲低下に陥ってしまっているときは、ご自身でその打開策を見つけ出すことには多くのエネルギーが必要とされるため、自己解決させることは難しいかもしれません。「とてもそんな気にはなれない」となっても無理はないと思います。

 

 そのようなときにはカウンセリングはもちろん有効な手段となるわけですが、そのほかにも身近に信頼のできる家族や友人がおられるのであれば、その方と一緒に打開策を見つけ出すことも良い手段となり得ます。自己解決できればそれに越したことはありませんが、無理にひとりで考えすぎるのも良くありません。「しんどい」の気持ちが増幅されてしまう可能性もあるからです。まずは誰かに協力してもらい、ゆくゆくはその経験を生かして、徐々に自己解決能力を身に付けていければ良いと思います。

 

 

 あとは、予防について。複数回その意欲低下を経験しているのであれば、そのときのことをよく振り返ってみることで、なんらかの前兆を自分なりに見つけ出すことができるかもしれません。例えば意欲低下のきっかけとなった出来事を反芻して寝つきが悪くなるだとか、なんだかイライラするだとか、なんだか口数が減ってくるだとか、食欲が落ちてくるだとか、そんな感じのことです。そんな前兆に気づくことができれば意欲低下に陥る前になんらかの方法で対処できる余地が生まれるでしょう。

 

 

 「前兆を知る」ということについては、日記を書くことをお勧めします。日記を書くことで自分自身をより良く知ることができると思うからです。日記を書くことが苦手でハードルが高いと感じる方は以下の3点を記録するというスタイルで取り組んでみると良いと思います。

 

〇その日の気分

〇その日の活動量(仕事や学業、あるいは余暇などについて)

〇睡眠について

 

 自分の心身に関する記録づけによって自分の体調変化の傾向を知ることができることと、毎日の振り返りが行えるというメリットがあります。簡易版の日記といったところですね。

 

 

 ちなみに先延ばしや回避行動の問題に意欲低下が絡んでいるときは、自らの先延ばしや回避行動に対する自己嫌悪や罪悪感、あるいはその結果として抱く焦燥感などによって意欲低下の状態に陥ってしまうことが多いように感じます。

 

 辛いことがあったときには、本当にしんどくなるまでひとりで堪えたりしないことです。誰かにその辛い出来事を聞いてもらうだけでも、その辛さは緩和されますよね。

 

 前兆を知ること、誰かに話を聞いてもらうこと。この二つは意欲低下に陥ることを抑止するための有効な手段になるかと思います。

 

 

先延ばし(PCN症候群)のカウンセリング

 

怠惰(怠け癖)による逃げ癖のカウンセリング