怠惰(怠け癖)による回避行動に対するカウンセリング

怠惰による回避行動とは

 怠惰による回避行動とは「困難な状況に対して行動に踏み切ること」からの回避であり、困難な状況から逃げて楽な道を選ぶ振る舞いをいいます。怠惰による回避行動も不安による回避行動と同様に、基本的に不健康でネガティブな感情を経験することを避けるための防衛的な行動であると考えます

 怠惰による回避行動の例としては、職場で「この仕事は面倒くさいからやりたくない」と考え、その仕事を回避して別の仕事にとりかかるなどが挙げられます。怠惰による回避行動は結果として課題の先延ばしにつながることが多く、怠惰による回避行動と先延ばしには密接な関連性があります。そして怠惰による回避行動は、それが本人の人生哲学となっていることが多くあり、その場合は回避行動が習慣化される(怠け癖)傾向があります。習慣化されているということはつまり、努力をし、真面目に取り組むことを避ける方法をしっかりと習得しているということです。

人間は誤りをおかしやすい存在

 まず理解していただきたいことは、そもそも人間は誤まりをおかしやすい存在であるということです。よって怠け癖に関しても、人間は「前向きに物事に取り組んでいくことは困難に満ちているから、それを避けてなるべく楽をしたい」などといった不適切な考えを持ち、その結果として誤まった行動をとってしまうことがあるものなのです。「楽であるに越したことはない」が不適切な考えだとは私は思いません。ただ、この考えがエスカレートして「いつも楽でなければ嫌だ」になると問題が起こるのです。人間は生得的に、このように自分の考えをエスカレートさせてしまう傾向があります。なので、怠け癖があるからといって、必要以上に自己卑下したりしないでください。人間はもともと誤りをおかしやすい生き物なのです。

 そしてもうひとつ大切なこと。幸運なことに、人間は誤りをおかしやすい生き物ではありますが、努力することによってそれを正す力は持っています。つまり怠け癖に自分自身が抵抗することによって、怠け癖は自分自身の力で治すことができるのです

それは本当に楽な道?

 困難な状況から逃げ、より楽な道を選択しても、結局のところそれは決して楽な道とはなりません。それは自分自身が楽な道を選択したあとに、自分自身が辛い経験をすることによって初めてわかるものです。「問題を回避することによって目先の安楽を手にすることができても、のちにその問題がより大きなものとなってしまい、手をつけることができないほど困難な状況に陥ってしまった」などは、その典型的な例です。

 怠惰を放っておくと、やがてそれは嫌悪となります。嫌悪感を抱くと回避したい気持ちはより一層強くなります。そうなる前に、現実を回避するのではなく、正面から取り組んでいくことが最良の方法であることを理解することが大切です。しかし実際のところ、怠け癖があるがゆえ、それが理解できていても目の前の現実に正面から取り組むことが困難という方もおられるでしょう。その問題を会話を通じて解決していくのがカウンセリングです。カウンセリングは、怠惰(怠け癖)による回避行動のお悩みを抱える全てのクライエント様に対して常に同じ方法で行うものではありません。カウンセラーはクライエント様の抱えるお悩みに対して個別性を尊重し、クライエント様に最も適した解決方法を見つけるべくじっくりと話し合い、怠け癖を解消し、現実に正面から向き合えるよう導いていきます。

ストレスと回避グセの関連

大切なのは‘自分がそれをするかどうか’

 もし「前向きに物事に取り組んでいくのは困難に満ちているから、自分にそれができるのかどうかわからない」などの考えが頭に浮かんでくるのであれば、その考えは忘れてしまいましょう。ここで考えるべきことは、「自分がそれをするかどうか」です。回避行動を続けていると、その回避し続けた物事を誇張して考えるようになり、次第に自信を失っていき、その物事に対して「自分には本当にそれができるのか?」と恐怖を感じるようになります。恐怖は物事に取り組むことを阻害します。

 繰り返しになりますが、「自分にそれができるのか?」を考える必要はありません。まずは「自分がそれをするかどうか」について考えていくことが重要です。その際に、自分がそれをしたあとの状況と、自分がそれをしなかったあとの状況を想像し、それらの状況を比較して考えてみると良いでしょう。そうすることによって、どちらが自分にとって良い状況なのかをすぐに理解することができます。そして良い状況を手にするためにはどうすればよいのかを考えることによって、「自分がそれをするかどうか」に対する答えもすぐに導き出すことができるでしょう。

自分の手に負えるものと負えないものを識別する

 困難な状況に対してそれが「自分の手に負えるもの」か「自分の手に負えないもの」かを識別することはとても大切です。「自分の手に負えるもの」であれば、それを軌道修正するべく前向きな姿勢で取り組むことができます。しかしそれが「自分の手に負えないもの」であった場合には、その困難な状況を耐えるほかに方法はありません。このような場合に必要なものは、高い欲求不満耐性です。回避をせずにそれに向き合い、じっと耐えること。高い欲求不満耐性は、困難な状況に対する適切な考え方を身につけることによって手にすることができます。

自己訓練で人生は変えられます

 クライエント様とカウンセラーの願いは同じです。「不適切な行動につながるような目先の安楽を選ぶ考えを改め、適切な行動がとれるようになる」という願いです。それを実現させるためには、まず「自分にはやれる」ということを知ることです。それはつまり、「自分にはやれる」ということを身をもって経験するということです。そのために物事に対する適切な考え方の習得などに関する自己訓練は避けては通れないものですが、辛抱強く自己訓練を続けていくことによって変化は必ず起こります。自己訓練は決して自分を裏切ることはありません。

 自己訓練というと厳しいトレーニングを想像してしまいそうですが、実際はそのような感じのものではありません。そもそも過度の訓練は良い結果に結びつかないと考えております。そのためカウンセラーは個別性を尊重してクライエント様にとって無理のない、取り組みやすい訓練方法をクライエント様と共に模索していきます。ここで言う無理のない訓練法とは、クライエント様にとって現実的に取り組みが可能な訓練法を指します。訓練を続けていくことで、少しずつではあるかもしれませんが、クライエント様がご自身の進化を実感し、その進化の過程を楽しんでいただくことができれば良いと考えております。

 性格を変えることはできないかもしれませんが、自己訓練を続けていくことで怠惰な考え方を改め、人生を変えることはできるのです。ご自身の怠け癖による回避行動でお困りの方はお気軽にご相談ください。

※精神科・心療内科へ通院されている方は、必ずカウンセリングを受けることに対して医師の承諾を得てからお申込みをされますようお願いします。

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