不安が回避行動の原因であるのなら、その回避行動を解消するためにはその不安を克服する必要があります。大きな挑戦のように感じてしまうかもしれませんが、その不安を小さくするだけで回避行動は解消されていくものです。
その回避行動を「不安を回避する良い方法だ」と自らが認識すれば、その回避行動を日常的にするようになるのかもしれません。この習慣が結果として先延ばし癖となって現れることもあります。職場へ出勤することができない、あるいは学校へ行くことができない等の問題において、その背景に不安が関わっていることがあります。
不安による回避行動のカウンセリングでは、その不安をカウンセラーと共に観察し、不安を生み出す原因を特定します。そして、その原因について丁寧に話し合っていく中で、不安を生み出す危険や脅威を軽減させ、安心や安全を増やすことで回避行動の解消につなげていきます。
不安とは「自己存在を脅かす可能性のある破局や危険を漠然と予想することに伴う不快な気分」と心理学辞典では定義されています。不安感情は一定期間持続する特徴があります。
なお、似たような感情で恐怖というものがあります。恐怖は「漠然とした不安が何かに焦点化され対象が明確になったもの」と心理学辞典では定義されています。不安感情が一定期間持続する特徴であるのに対して、恐怖感情は一過性という特徴があります。
不安と恐怖どちらの感情も目的は「自分の身を守るため」の感情と言えます。不安や恐怖感情が自らに危険が迫っていることを教えてくれているのです。
例えば、生命の危機に関わるような重大な局面においての回避行動については、生き延びるために必要な回避行動であると言えます。不安による回避行動の克服に取り組んでいく際には、この点について理解しておくことが大切です。不安が生み出す回避行動の全てが問題視されるべきものとは限りません。
しかしこの評価は簡単なことではないときもあります。人は不安を強く抱えているとき、その不安の対象となるものが実際は生命を脅かすものではないのに、それと同等の危険や脅威と感じてしまうことがあるからです。また、その逆もしかりです。実際は生命を脅かすほどのものではないことでも、その人の体験している世界で本人が生命を脅かすことに匹敵する危険や脅威と感じているのであれば、その人が体験している世界では回避行動は必要なことであり、それは危険を回避するための適応的な行動であると言えるのです。
カウンセリングではこの点を踏まえた上で、クライエント様にとっての脅威や危険を減らして、安心や安全を増やしていけるよう話し合いを重ねることで、不安による回避行動の克服を目指していきます。
ご自身で状況を変化させ、軌道修正することによって、不安を解消させることができる場合もあります。例えば、「○○ができるかどうか不安」に対して、何らかの具体的な対策により「○○ができる」と自分が思える状況を作り出すことができれば、その不安を克服することができます。例えばこの場合、「練習をする」といったことも立派な不安対策となり得ます。「頭の中でリハーサルをする」ことなども良い練習法と言えるのではないでしょうか。これは「良い結果を期待できる自分を育てる取り組み」と言えます。
建設的で効果的な不安対処法を見つけておけば回避をする必要もなくなります。ポイントは勇敢でありつつも「安心を作り出す」ということです。つまり「それをやっても大丈夫だ」と思える対処法を作るということです。そんな対処法を持つことで、「無鉄砲ではない冒険心を持つ」ことが可能となるのでしょう。
状況によっては、不安の対象から「離れる」という選択肢も正攻法であると私は考えます。例えば職場や学校で自分を執拗に攻撃してくるような人がいたとして、そのような状況においては必ずしもその人を避けずに接しなければならないということではありません。どうしてもその相手と密接に関わって取り組んでいかなければならない状況であればその相手を避けることは難しくなりますが、避けることが可能な状況である場合にはその相手から「離れる」という戦術を使うことは必ずしも間違いではないと私は考えます。
もしご自身がその不安に挑戦する価値を感じられるのであれば、回避せずに直面するべきです。ですが先々の人生を考えたときに「今は離れる」という選択をすることによって、心理的健康の維持が望めるのであれば、それは正しい選択と言えるでしょう。このあたりのことは頑なにならずに柔軟に考えていくことも大切です。また、不安に向き合うためには心的エネルギーが必要ですから、心的エネルギーがしっかりと満たされてから不安に向き合うという選択肢もあると考えます。
「不安だから」という理由でそれを回避するのはわかっていても、「どうしてそれを不安に感じてしまうのか」については意外と自分ではわからなかったりするものです。その「不安だから」の理由が回避行動の直接的な原因だったりするので、もし「どうして不安に感じてしまうのかよくわからない」場合には、その点についてカウンセラーと一緒にその不安を観察することが役に立つと思います。
回避行動を克服させるために、その回避行動を引き起こす不安をご自身が深く理解することが役に立ちます。カウンセラーとの話し合いの中で、それはクライエント様の「新たな気づき」として見つけることができるでしょう。自己理解を深めることは危機管理に備えるためのアイデアを与えてくれます。
「不安による回避行動」は個別性があり、多種多様です。
〇「人前に出るのが怖いから、できる限りそのような場面は避けるようにしている」
〇「新しい環境に飛び込むのが怖くて行動に移せない」
〇「失敗を恐れてしまいチャレンジできない」
〇「怒られてしまうのではないかと思い、主張できない」
〇「苦手な人と取り組んでいかなければならない仕事だけど、その人を避けてしまう」
不安というものは少なからず誰もが抱く感情です。しかし、その不安が強くなりすぎると問題が起こることがあります。問題視すべき不安とは、その不安によって自分の理想とする行動がとれずに自分を苦しめ続けるものです。
心理的側面から考えると、不安を抱えていながらも回避をせずにいられる人と、不安を抱えて回避をしてしまう人との違いは、ものごとに対する捉え方の違いであると言えます。いつだってものごとに対する自分の思考が不安を育てるのです。例えば、完璧主義思考と失敗恐怖の関連が挙げられます。完璧主義思考の人は必要以上に失敗を恐れてしまう傾向があります。
カウンセリングで継続的にご自身の不安についてカウンセラーと深く話し合っていく中で、ご自身の傾向性を知ることができます。それが不安による回避行動の克服に役立ちます。自分の傾向性を知ることで、自分の扱い方が見えてくるからです。
もしカウンセリングを受けることに不安を感じてしまうようでしたら、まずはカウンセリングの雰囲気に慣れていただくためのオリエンテーションプランをご用意しておりますので、そちらのプランからご利用いただくことをおすすめします。これによりカウンセリングに対する不安は軽減されると思います。
不安による回避行動を克服することによって活動の幅を広げ、より豊かで彩りのある人生を送っていただけることを祈っております。カウンセリングをご検討の方はお気軽にご相談ください。
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