2種類の「できない」

 「~ができない。どうしたらいいんだろう・・・」。こんなふうに感じて困ってしまったことはありませんか?そんなときは、その「できない」の言葉に着目してみてください。

 

 例えば、「スキップができない」と「期待を裏切ることはできない」。この2つの「できない」の持つ意味が、それぞれ違うということは何となくお気づきになれますよね。ここからもう少し、この2つの「できない」を観察してみましょう。

 

 

〇「スキップができない」

 この「スキップができない」の「できない」を別の言い方で表すとすれば、どのような言葉になるでしょう?

 

 この場合の「できない」は「~がうまくいかない」などと表現することもできますよね。つまりこの「スキップができない」の「できない」は、「技術不足によるできない」であると言うことができるのです。

 

 この「スキップができない」を解決するための方策としては、練習方法の工夫などが挙げられますね。例外はあるにせよ、これは技術的な問題であり、技術の向上が「スキップができる」に結びつくことでしょう。

 

 

〇「期待を裏切ることはできない」

 同じようにこの「期待を裏切ることはできない」の「できない」を別の言い方で考えてみます。この場合の「できない」は「~するのが嫌」などと表現することができますね。つまり「期待を裏切ることはできない」における「できない」は、自らの定めたルールによる「拒否のできない」であるとも言えます。「期待を裏切るのは嫌だ」、「期待を裏切るのは許せない」、「期待を裏切ることなどあってはならない」などですね。

 

 「期待を裏切ることはできない」という頑なな自分の考えが、自分自身に対して過度のプレッシャーを与えてしまい、結果として自身の能力の発揮を阻害してしまっている場合、それを解決するための方策として、「できない」の中に「してもいい」を程よく加えてみることをおすすめします。

 

 具体的には、「期待を裏切ることはできない」と思う中に「しかし最善を尽くしても期待を裏切る結果となってしまうことだってあるだろう」という不本意ながらも期待を裏切ってしまうという可能性の余地を自分に与えてあげるのです。自分自身がそのような現実的で柔軟な考え方を選択することによって問題解決への糸口を見出すことができるかもしれません。

 

 また、怠惰な考えに基づく「拒否のできない」についても同じように、現実的で柔軟な考えを選択するよう努めてください。例えば「あれは面倒くさいから絶対できない」の考えを、「あれは面倒くさいからできればやりたくないけど~」などのように。

 

 

 このように「できない」には大きく分けて2種類の「できない」があります。「技術不足のできない」と、「拒否のできない」の2つです。先述の通り、それらの「できない」が問題視されるべきものである場合に、それらの解決方法はそれぞれ異なります。もしこの「できない」絡みのお悩みを抱えてしまった際には、まずご自身の「できない」がこの2つの「できない」のうちのどちらに当てはまるのかについて観察し、理解することがまずは大切です。