ストレスと回避グセの関連

 怠惰(怠け癖)による回避行動のお話です。逃げ癖ってものですね。ここでは仕事の休み癖がついてしまった人の例を挙げてお話ししてみたいと思います。つまり仕事に行くことの回避行動です。

 

 自分では良くないことだとわかっているのに、たびたび朝職場に向かうことなく休みの連絡を入れてしまう・・・どうしてこの回避行動は起こるのでしょう?

 

 仕事の休み癖にはいろいろな原因が考えられます。例えば怠惰だけではなく、不安が原因となっていることもあります。いずれにしてもこのような状況において、ご自身のストレス状態がどうであるかに目を向けてみることは回避行動の克服に役立つかもしれません。キーワードは「強烈な解放感」です。

ストレスからの強烈な解放感

 仕事に行くのが億劫で、その日の朝仕事を休むと決断し、その日仕事を休めることが確定した瞬間にその人が得られるものといったら、それは強烈な解放感です。

 

 朝目が覚めて仕事に行くのが億劫で強いストレスを感じている状態から、「今日は休みます」の一言で、突然その日は自由の身となってしまうのです。この突然訪れる大きなギャップが強烈な解放感を生み出すのです。

 

 「今日は仕事に行かなくてよくなったんだ!」

 

 「今日は自由の身だ!」

 

 「今日は好きなことをして過ごせるんだ!」

 

 一方で、その人が仕事に行く一日とは、イヤなことをしなければいけないとても不快な一日です。そんなとても不快な一日が始まろうとしている朝においては、この強烈な解放感は中毒性を持ちます。不快な一日が始まろうとしている朝に、またこの感覚を味わいたくなってしまっても無理はありません。

不適切な認識による成功体験は回避グセを育てます

 もしその回避行動が癖になってしまった場合に着目しておきたいのが、不適切な認識による成功体験がその回避行動を強化していないかという点です。

 

 朝目が覚めて仕事を休むと決断し、職場に連絡を入れ、その日仕事を休むということが許可されたときに「おっ、こうすればいいんだ!」と、それを強いストレス状態から解放されるための成功体験と受け止め、その成功体験が回避行動を強化してしまうことがあるのです。その体験が回避グセを育ててしまうんですね。

 

 それを成功体験と受け止めているくらいですから、まわりの人がその行為をどう思おうとも、本人としてはそれがその状況においての合理的な行動と思えていたりするものです。「そうせざるを得ない」といった表現が適切なのかもしれません。

ストレスからの回避グセを改善するには

 ひとつの仮説として、「強烈な解放感」と「不適切な認識による成功体験」の組み合わせが、回避グセ(ここでは仕事の休み癖)を生み出すと考えることができます。

 

 すなわち回避グセを改善するためには、そもそも仕事を休むことが許可されたその状況に強烈な解放感を抱くことがないように、日頃から仕事に行くことに対して適度なストレス状態でとどめておけるようにすれば良いのだと考えることができます。そのためには日頃から適度に解放的で適度に束縛されている気分でいられるような生活を送るようにする必要がありますね。束縛や強制に慣れていないから解放されたいと強く思うのです。日常的に訪れる束縛や強制を必要な場面では受け入れることに慣れる必要があるということですね。

 

 強いストレス状態を適度なストレス状態とするために必要なものは、高い欲求不満耐性です。これは、その状況に対するご自身の受け取り方や考え方を修正することによって手にすることができます。もちろん簡単なことではありません。でも工夫を凝らして取り組んでいけば不可能なことでもなかったりします。

 

 そして、不適切な認識による成功体験を自らが「不適切であった」と認識するためには、適切な行動によって得られる感覚と、不適切な行動によって得られる感覚を区別できるようになることが大切です。これらの感覚を区別するために、それぞれの行動のあとに生じるご自身の感情に目を向けてみてください。適切な行動によって得られた感覚には充実感や爽快感が伴います。一方で、不適切な行動によって得られた感覚には充実感や爽快感は伴わず、代わりに自己嫌悪や罪悪感、あるいは焦燥感などといったネガティブな感情がいずれ沸き起こるはずです。

 

 回避すること(逃げること)でその場限りの解放感を得られたとしても、中長期的な結果を見れば良いことないのは明らかですよね。

ストレスからの回避グセ改善にはやっぱりカウンセリングが最良の方法だと思います

 ストレスからの回避グセを改善するために、書籍やネットでの関連記事を読んだりして、そこから自分なりに何らかの気づきを得たりする方法も悪くはないのですが、最良の方法はやっぱりカウンセリングを受けることだと私は思います。なぜなら書籍やネット記事などでは情報や改善策に個別性を持たせて発信させることが難しいからです。

 

 対面形式(オンライン形式も含む)で行うカウンセリングでは、個別性を尊重した話し合いができます。そこはカウンセリングのメリットです。

 

 例えばここで例に挙げた仕事の休み癖の話についても、「職場に意地悪な人がいる」、「時間で厳密に管理されている」、「責任に押し潰されそうになっている」など、実際は個々人の抱えるストレスはさまざまな背景があったりします。不登校の方の場合にしても、「嫌いなクラスメイトがいる」といったものだけではなく、先生に怒られたことを「先生に嫌われてしまった」と思い込んでしまっていることが強いストレスを生み出していることもありますし、あるいは学校に対するストレスではない、生活の中での別のストレスが意欲低下につながり、不登校という結果を生み出していたりすることもあります。こういったことは対面で話し合わなければ、なかなか見えてこないものだったりしますよね。

 

 「欲求不満耐性を高めてストレスを軽減し、回避グセを改善したい」とお考えの方には、一度カウンセリングを受けてみることをおすすめします。あなたのためだけの回避グセ克服法を習得することができるかもしれません。

 

 

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