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何もしないことの理由を考える

 人が何かをするには理由があります。同じように人が何もしないということにも理由があります。

 

 先延ばしや回避行動でお悩みの方の中には、自分がどうしてそのような行動をとってしまうのかをある程度理解されている方は多いです。「面倒くさいから」「あの人に怒られたくないから」など、ご自身が理解されている先延ばしや回避行動の理由はさまざまです。

 

 多くの人はこの理由について「では、どうしたら良いのだろう」と考えます。しかしそこで自分なりの良い解決策を見つけ出すことはなかなか難しかったりすると思います。

 

 私としては、ご自身が理解されている先延ばしや回避行動の理由をもう少し深く掘り下げてから解決策を考えてみることをおすすめしたいです。例えば、「面倒くさいから」についてもっと深く観察し、その結果「そもそもどうして自分は面倒くさいと思ってしまうのだろう?」という疑問を持つことができたとします。そうしたら今度は、その疑問について深く考えてみれば「この課題を進めていく過程で、自分には難しくてどうしていいのかわからないような作業があるからこんなに気持ちが怯んでしまうんだ」ということを突き止めることができるのかもしれません。これくらい具体的な理由が導き出せたら、解決策を考えて良いと思います。具体的な理由が見つかれば、具体的な解決策を見つけられる可能性は高まりますからね。

 

 「あの人に怒られたくない」についても同じように、良く観察し、深く掘り下げてみます。自問自答ですね。「どうして自分はあの人に怒られてしまうと困ってしまうのか?」、その結果導き出されるものは「自分は人に怒られることには慣れていないから、精神的ダメージが大き過ぎるのだ」とか「自分はいつも人に好かれていたいと願っているからだ」などといった理由だったりするのかもしれません。ここでするべきことは、「自分は人に怒られることには慣れていない(つまり、人に怒られたくない)」や「自分はいつも人に好かれていたい」といった考えを持っていることが果たして自分の役に立つのかどうか、自分を幸せにするのかどうかについて考えることであり、その考えがそもそも理にかなっているものなのかどうかについて考えることです。そして、それらの考え方を自分の役に立つ、あるいは自分を幸せにする考え方に修正すること。その考え方を理にかなったものに修正することが問題解決の役に立つと思います。

 

 

 とは言え、実際のところ、これらのことを自分ひとりで行うのは難しいと感じるかもしれません。そんなふうに感じたときには、心理カウンセリングを受けてみることを考えても良いと思います。心理カウンセラーはクライエント様のお悩みについて一緒に考え、解決へ導いていく存在です。それは良い経験となるはずです。なぜならカウンセリングの経験によって、ご自身の抱えるお悩みを自分自身で解決できる術を習得することができるようになると思うからです。